高等工科学校卒業生が自衛隊を辞めた時の話

自衛隊
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今回は、高等工科学校の卒業生である僕が、3曹任官後に自衛隊を辞めた時の出来事を例に、どのように自衛隊を退職したのかについて紹介していきます!

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民間企業と自衛官の退職の違い

自衛官の退職ですが、実は民間企業のように退職届等を出して、引継ぎをして終わり!
とはいきません。。。

ですので、僕が自衛隊を退職した流れをご説明する前に、まずは民間企業と自衛官の退職に関する違いについて紹介していきます。

民間企業の場合

まずは民間企業の場合についてです。

民間企業の場合退職に関して根拠とる法令としては、民法第627条が該当します。
簡単に言いますと、退職の2週間前までに意思を雇用者へ伝えればいつでも辞めれるということです。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

ですが実際は、就業規則などに定められた「退職の○ヵ月前までに申告」することがほとんどで、よほどのことがない限りはそれに従うことがほとんどだと思います。

そして、法律上は退職を認めない等の基準がないため、いつまでに伝えるという所さえ押さえておけば普通は希望通り退職することができます。

※今回は期間の定めのない雇用の場合を想定してます

自衛官の場合

さて、民間企業の場合は民法や就業規則に定められた期間さえ守ればいつでも退職することができること説明しましたが、自衛官の場合は少し異なります。

退職を認めない場合がある!?

自衛官の退職の承認に関して、自衛隊法第40条では以下のように謳われています。

第四十条 第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000165_20210801_501AC0000000063

太字で強調した部分ですが、要するに退職を認めない場合があることが明記されています。
ですが、安心してください笑

あくまで「自衛隊の任務に著しい支障を及ぼすと認めたとき」ですので、ここは特に気にする必要はありません。
理由としては、戦争などの国家存亡の危機である有事を想定したものだからです。

退職の手続きと任免権者について

退職の手続きについて、民間企業の場合は法的に手段は特に定められていませんでしたが、自衛官の場合は陸上自衛官人事業務規則第28条に大まかに謳われています。

第28条 退職(定年及び任期満了による退職を除き、応募認定退職を含む。) を希望する者は、退職願(別紙第 20)を作成し、幹部並びに陸上幕僚長を任免権者とする准陸尉、陸曹及び陸士については、退職希望日の 30 日前までに、 順序を経て陸上幕僚長に1部上申するものとする。

http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/f_fd/1978/fy19781116_00021_006.pdf

要するに、退職願を作成して退職日の30日前までに陸上幕僚長へ上申しなければならなく、この30日は規則上に定められた最短の退職までの期間と言えます。
(この期間などについては、師・旅団及び所属部隊の規則でも規定されている場合があります)

ここで気になるのは任免権者についてですが、これについては自衛隊法第31条に記載があります。

第三十一条 隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職及び懲戒処分(次項において「任用等」という。)は、幹部隊員にあつては防衛大臣が、幹部隊員以外の隊員にあつては防衛大臣又はその委任を受けた者(防衛装備庁の職員である隊員(自衛官を除く。)にあつては、防衛装備庁長官又はその委任を受けた者)が行う。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000165_20210801_501AC0000000063

そして、高等工科学校卒業生を含め、一般的な陸曹・陸士の場合は師・旅団長(方面直轄の場合はその部隊長)が任免権者に該当します。

ちなみに僕の場合は方面直轄部隊だったため、その部隊長が該当しました。

僕が退職した時の流れについて

退職までの一例

上記は、僕が退職の意思を上司(小隊長)に伝えてから、実際に退職に至るまでを時系列にザックリとまとめたものです(見にくい図でスイマセン…((+_+)))
ですので、あくまで退職の一例としてお捉えください。

ちなみに、退職希望日ですが当初は7月末で、8月末、11月末と延びに伸びましたが、冬のボーナスが満額もらえるということで、12月1日付で最終的には決定しました。

上司に相談する前に規則を確認しよう!

この記事の冒頭でいろいろと自衛官の退職に関する規則を並べていましたが、僕はまず規則を調べました。

理由としては、自衛隊にとって規則とは絶対的なもので、規則に準じて正当な主張を行えば不当な対応を防いだり、自らを守ることへもつながるからです。

また、「こいつ、マジだな(”Д”)」と上司に暗に伝えることもできるからですね!

最初は説得させられる!?

民間企業でも同じですが、仕事を退職する場合はその職場にまずその意思を伝えます。
退職の意思の伝え方としては大きく分けて以下の2パターンがあるかと思います。

  • 自分で直属の上司に伝える
  • 退職代行サービスを利用して伝える

僕の場合は、最も一般的であろう自分で直属の上司(小隊長)に退職の意思を伝えました。
その後、小隊長から中隊長へ話が進むのですが、ここが手ごわかったですね笑

何度も、「考え直せ」「民間は自衛隊より厳しいぞ」等と言われ、説得というか、あきらめるのを待っているかのような面談が何度か続きましたね。

話を聞きながら、「ろくに民間で働いたことないくせに何言ってんだこのオッサン」と思っていたのは内緒です笑

まあ、退職を申し出た隊員の意思の本気度をふるいにかけている感じなので、強い意志さえあれば大丈夫かと思います。

ただし、隊員の退職は中隊長等の人事評価へ影響することがあるため、自分の任期中は辞めさせないように仕向けてくる中隊長や大隊長などがいることがあります。

退職日が見え始めた!

具体的な退職日が見え始めたのは、8月に入ってからでした。

理由としては、8月に大隊長が変わったことにより、滞っていた退職の事務手続きが行われたからです。
これはタイミングも悪かったのですが、部隊長が変わるときなどは一隊員の手続きに割く時間など無いよということと僕は捉えています。
(もちろん、それは職務怠慢ではありますが…笑)

話が進んでいくにあたり、人事陸曹と連携を取りつつ退職願や退職調書などの必要書類の作成、そして退職日の調整を行い、最終的には冬のボーナスが計算上満額支給される12月1日で決定しました笑
このボーナスなどの支給額ですが、人事が良い方だといつまでなら何割、満額ならいつまでと相談に乗ってもらえるので要確認です。

ちなみに、必要な書類の中には、家族の同意書的なものも存在します笑
(家族などが近くにいない場合は、同期や友人に頼んでも大丈夫です。僕は友人に書いてもらいました笑)
他にも、退職理由を書き連ねた書類もあり、これは人事、中隊長と相談しながらいい感じのストーリーを捏造して提出しました笑

そして、有給の消化をしつつ貸与品(官品)の返納作業などを行ってましたね~

ちなみに、有給ですが代休を優先的に消化した結果、年次休暇は20日以上は残したまま退職しました笑

いよいよ退職

いよいよ退職ですが、前日までには画像のような退職を認める旨が記載された辞令書が交付されます。

退職の辞令書

当日は既に身分証明書などは返納済みなので、上記の辞令書を警衛に見せることで外に出られます。
(事前にどこの誰が出るか、当直等から警衛に連絡されています)

ちなみに、退職金ですが僕の場合税引後で約50万ちょっとでしたね笑
高等工科学校時代は一応勤続年数に含まれたのですが、3年まるまるではなく1.5年といて計算され、任官後と併せて4年で計算されていたと記憶しております。

おわりに

今回は、僕が自衛隊を辞めた時の話をご紹介させていただきました。

自衛官の退職は自候生等で入ってきた方も同じですが、踏まなきゃいけないプロセスが多いためちょっと面倒です。

また、自衛隊は長くいればいる程民間とのギャップも生まれ、辞めにくくなります。
僕はどうせ50代で民間に放り出されるのであれば、若いうちに民間でスキルを身に着けておいた方が無難かなと思います。

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